C.連休中は女子みたく。
連休休み2日目--日--
古井side。
なんだかんだで、2日目になった。
嬉しいのか嬉しくないのか、楽しみなのか楽しみじゃないのか、よくわからない気持ちで俺はクローゼットに手をかけた。
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自転車を思いっきり飛ばして向かうのは、昨日と同じ学校の正門前。
そこで既に待っていたのは、意外にもくすけんだった。
大ちゃんは......まだきてない。
時計を見ると、10時になる10分前だった。
「よっ、くすけん早かったな」
「お、亮ちゃんおはよ!大ちゃんまだみたいだから、待っとこー」
「おうー」
大ちゃんは約束の時間じゃすとに着いた。
寝坊したとか言って、むちゃくちゃ荒々しく息をきらしている。
くすけんはそれを見て、慌てて大ちゃんに駆け寄って背中をさする。
........ただ、それだけのことなのに、
くそっ、何で妬くんだよ......俺のばか.........
俺は拳をぎゅっ、と握りしめた。
そんなことしたって、痛いだけなのに。
「で、今日はなんだ?」
大ちゃんは呼吸を整えて、くすけんに軽くお礼を言うと、きわめて冷静に言った。
「それが、まだ決まってないんだよな〜」
「「は!?」」
おいおい、うそだろ?
普通考えてくるだろっ。
俺と大ちゃんは、顔を見合わせて笑った。
「とりあえず、歩くか」
俺はそう言って、自転車を押して歩き出した。
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「それで、こっからだけどどうする?」
現在、学校近くの病院前。
信号を境に、左右に分かれている歩道。
ここで大体のルートは決まるだろう。
「くすけーん、どうすんの?」
大ちゃんは、自転車にまたがって、横目でくすけんを見る。
「んー、どうしy.........あ」
何か言い掛けたくすけんが、はっとした顔で言葉と動きを同時に止めた。
俺と大ちゃんは、不思議そうに首を傾げて、くすけんの視線の先を見る。
「おい、あれって.......」
大ちゃんが、目を見開いてくすけんと、くすけんの視線の先にいる人物を何度も何度も見合わせていた。
「あれ、2人とも同じクラスの子なのに、名前も知らないの?」
笑いながらそう言って、くすけんは横断歩道を挟んで向こうにいる1人の女子生徒に手招きした。
なんでそんなに親しげなんだ?
しゃべってるとこなんて、見たことないのに......
そこにいた女子生徒、柚木鈴音は信号が青になるのを見計らって、自転車を押しながらちまちまと走ってくる。
「おはよ、柚木さんどっか行くとこ?」
「ん、ちょっとカラオケに」
「へー、誰かと行くの?」
「うん、友達とっ」
相変わらず2人で親しげにしゃべるのを、俺と大ちゃんは呆然と見つめていた。
「な、な、そういえばいつか教室で本借りてなかったか?」
小さな声で、大ちゃんがボソッとつぶやく。
「え?.....あー、そういえばあったような」
でも、そんだけであんな親しくなるか?
「よし、大ちゃん!亮ちゃん!」
「「......え??」」
いきなり呼ばれて俺らはまぬけな声が出る。
「俺たちもカラオケ行こうっ!」
その笑顔に俺たちは、思わず頷いてしまった。
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